経営者が抑えておくべき3ポイント
残業問題3つのポイント
今、企業の労務問題で一番の関心ごとはこの「残業問題」ではないでしょうか?
マクドナルドの裁判で話題となった「名ばかり管理職問題」等、新聞などを見ても、かなりの頻度で未払い残業の支払いを求める訴訟の記事が見られます。
残業代の請求は、2年までさかのぼることができます。したがって、適正に計算して支払っていないと、莫大な金額を支払わなくてはならなくなります。残業問題を解決するポイントは次の3つです。
ポイント1.労働時間の設定を見直す!
以前にご相談を受けた事例で、定時が9時から18時の会社で、毎日22時近くまで残業していて、残業代がかなりの金額になってしまうというご相談がありました。
詳細をうかがって、実際に現場を拝見させていただくと、9時始業とはいっても、お客様の都合でほとんどお昼近くまでは仕事を進められない状況だということが判明しました。午前中は電話対応に1人いれば十分のようでしたので、「思い切って、始業時刻を後ろにずらしてはどうでしょう?午前中の電話番は交代制にできませんか?」とご提案し、最終的にシフト制にして残業時間数を減らすことができました。
労働時間について、意外ときめ細かく考慮して設定している事業所は少ないようです。始業終業の時刻や休憩時間、休日等をもう一度現場の声を聞いてみると、案外労働時間の設定に問題があるケースが多く、始業時刻を変える、シフトを導入する等で残業時間を大幅に削減できる場合があります。
ポイント2.労働時間管理方法を見直す!
労働時間の管理方法は、企業によってさまざまのようです。タイムカードを利用している会社、パソコンのログ状況で把握している会社、中には全く管理していないという会社もあるようです・・。
残業問題についてよく経営者の方から言われるのが、「能力の無い人間がダラダラと仕事をして、勝手に残っているのだから残業代なんて支払わないよ。」という言い分です。
私も経営者のはしくれですから、この気持ちは心から共感できます。なんで能力がなくて仕事がいつまでも終わらない人間に残業代を支払わなくてはならないのか・・。
しかし、法律上、労働時間を管理するのは会社の責務となっています。いくら「本人の要領が悪い」といっても、その本人の能力を高めたり、仕事の配分を見直したり、労働時間を管理するのは会社側の責任です。
また、出勤、退勤の際にタイムカードを打刻させているだけの会社の場合、タイムカード上の時刻がそのまま労働時間とされてしまいます。労働時間は1分単位で集計する必要があるので、終業時刻後に同僚とおしゃべりをしてタイムカードを押す時間が数分でも遅くなれば、その時間がそのまま残業としてカウントされてしまいます。労働時間の管理方法は、現場の状況やコンプライアンス等を考慮して、的確に定めておくことがトラブル防止につながります。
ポイント3.給与体系(手当)を見直す!
会社によっては、夜勤があったり、毎月残業が発生することを見越して、基本給とは別に手当を支給しているケースがあります。
会社としては、「深夜割り増しや残業代は既にこの手当で支払っている」という認識でいたとしても、賃金規程等に何の記載もなく、手当の内容が不明瞭だと残業代としてみなされない可能性があります。また、残業代の単価に入れなくてはいけない手当を除いていたというケースも多々あります。
手当の中に、残業代の意味合いで支払っているものがあれば、きちんと賃金規程等で明記しておくことが重要です。